イーサネットとは
イーサネットは、コンピューターネットワークを構築するための一般的な技術や規格の1つで、データ通信を行うためにコンピューターやネットワーク機器を接続するために使用されます。イーサネットは、ローカルエリアネットワーク(LAN)で広く利用されており、家庭やオフィス、データセンターなどで使用されています。
イーサネットにはDIX規格とIEEE802.3規格の2種類があり、フレーム構造や信号線のオプションなどが異なっているが、同一の媒体で混在させることが可能になっている。現在、普及しているのはDIX規格イーサネット2.0です。
イーサネットの規格
イーサネットは、伝送速度、伝送方式、伝送媒体ごとに様々な規格が定められています。以下に主なイーサネット規格を紹介します。
規格 | イーサネット規格 | 制定年 |
IEEE802.3i | 10BASE-T | 1990年 |
IEEE802.3u | 100BASE-TX、100BASE-FX | 1995年 |
IEEE802.3z | 1000BASE-SX、1000BASE-LX、1000BASE-CX | 1998年 |
IEEE802.3ab | 1000BASE-T | 1999年 |
IEEE802.3ae | 10GBASE-SR/SW、10GBASE-LR/LW、10GBASE-ER/EW | 2002年 |
- 10BASE-T
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最初の商用イーサネット規格の1つであり、10 Mbpsのデータ転送速度を提供します。ツイストペアケーブルを使用し、最大100メートルの伝送距離を持ちます。
- 100BASE-TX
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100 Mbpsのデータ転送速度を提供するイーサネット規格です。10BASE-Tと同様に、ツイストペアケーブルを使用しますが、より高速な伝送を可能にします。
- 100BASE-FX
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100 Mbpsのデータ転送速度を提供するイーサネットのファイバーオプティック規格です。この規格は、ファイバーオプティックケーブルを使用して通信を行います。ファイバーオプティックケーブルとは、光ファイバーと呼ばれる非常に細いガラスやプラスチックの繊維を使用して情報を伝送するためのケーブルで、高速通信が可能で電磁干渉や盗聴への耐性があります。
- 1000BASE-SX、1000BASE-LX、1000BASE-CX
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これらは1 Gbpsの規格で、1000BASE-SXと1000BASE-LXはファイバーオプティックケーブルを使用しており、1000BASE-SXは短距離通信用途、1000BASE-LXは長距離通信用途に適しています。1000BASE-CXはショートハルデンドツイストペア(STP)ケーブルを使用しており、短距離接続用途に適しており、特に高速で信頼性の高い接続が必要な場合に使用されます。
- 1000BASE-T
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1 Gbpsのデータ転送速度を提供するイーサネット規格であり、通常はカテゴリ5eまたはカテゴリ6のツイストペアケーブルを使用します。
- 10GBASE-SR/SW、10GBASE-LR/LW、10GBASE-ER/EW
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これらの規格は、10 Gbpsの規格で、全てファイバーオプティックケーブルを使用しています。10GBASE-SR/SWは短距離用途、10GBASE-LR/LWは長距離用途、10GBASE-ER/EWはさらに長距離用途に適しています。
最新の規格
さらに最近では、25GBASE-T、40GBASE-T、100GBASE-Tなどの規格があり、これらの規格は、それぞれ25 Gbps、40 Gbps、および100 Gbpsのデータ転送速度を提供します。より高速な伝送速度を必要とするデータセンターやハイパフォーマンスネットワークで使用されます。
CSMA/CD
イーサネットが規格された当初は、複数のデバイスが同じ通信媒体を使用する環境で通信しようとすると、信号が衝突し正しく通信できなかったため、CSMA/CDという通信方式が開発されました。CSMA/CDでは衝突を検出し、一定時間待機した後に再送信することで、この問題を解決しています。
CSMA/CDは、主に半二重モードの古いイーサネットネットワークで使用されていましたが、現在ではほとんどのネットワークが全二重モードに移行しています。全二重モードでは、データの送信と受信が同時に行えるため、衝突が発生しません。そのため、CSMA/CDは不要となり、ネットワークの効率が大幅に向上しました。
DIX規格のフレームフォーマット
イーサネットフレームフォーマットは、イーサネットネットワーク上でデータを送受信するためのデータ構造のことです。フレーム構造は以下のようになっており、それぞれの情報について説明します。
プリアンブル | 宛先MACアドレス | 送信元MACアドレス | タイプ | データ | FCS |
- プリアンブル
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7 byteの情報で、受信側のデバイスにフレームの到着を通知し、クロック同期を確立するために使用されます。
- 宛先MACアドレス
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6 byteの情報で、データがどのデバイスに送信されるべきかを示します。
- 送信元MACアドレス
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6 byteの情報で、データがどのデバイスから送信されたかを示します。
- タイプ
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2 byteの情報で、ペイロードデータのプロトコルを指定します。(例えば、0x0800はIPv4、0x0806はARP)
- データ
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46~1500 byteの情報で、実際に転送されるデータを含みます。データの長さが46バイト未満の場合、パディングを追加して46バイトにします。
- FCS
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4 byteの情報で、CRC(Cyclic Redundancy Check)を使ってフレームのエラー検出を行います。
最後に
今回はコンピュータネットワークを構成する基本的な技術であるイーサネットについて紹介しました。ネットワークに関する技術は他にもたくさんあるので別の記事で解説していきます。